慢性の痛みに関して~歯科の見方

歯科の吉田格先生の記事より、慢性の痛みに関して。

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慢性と急性という言葉を、何となく聞いたことがあるでしょう。慢性とは簡単に言えば、細菌感染はあるものの白血球が頑張っていて、細菌が増殖しても処分している状態です。プラスマイナス0で、均衡がとれているわけです。

 

一方急性とは、慢性が続いていたものの疲労やストレスで免疫(白血球)の動きが落ちてきたり、細菌の方が優勢となった結果、細菌がつくる毒素(炎症を起こす物質)の影響が強く出て、痛みや腫れが出現した状態です。

 

つまり慢性と急性は表裏一体で、原因は同じということです。

 

人の体は少々の異常があっても、自覚症状が出ないように作られています。体は異常があってもわざと黙っていて、あなたの知らない所で頑張って細菌を処分しているのです。

しかしそれもいつまでも……というわけにはいきません。その好意に甘え続けていると体もさすがに耐えられず細菌の方が優勢になり、ひどい腫れや痛みが出現する、つまり急性になります。

ストレスが長期間加わると、脳の視床下部と下垂体という所から副腎(腎臓の上にある小さな臓器)に向けて、コルチゾールという「ストレスに抵抗するホルモン」を分泌するよう指令がでます。この経路をHPA軸といいます。

 

現代人は常にじわじわとしたストレスに曝されていますから、コルチゾールが四六時中放出される傾向にあります。そこにさらに急なストレスが加わると、お馴染みのアドレナリンが分泌されます。

 

実は両者とも多すぎると、免疫を鈍らせることがわかっています。さらにコルチゾール分泌が長期間続くとHPA軸が機能不全となり、今度はコルチゾールが出なすぎて、元気がまったくなくなります。

 

これが最近良く聞く副腎疲労という症状で、現代人の不定愁訴の大きな一因と考えられています。アルコールも睡眠不足も同様に免疫を鈍化させますから、これらが重なるとどうなるかは、もうおわかりでしょう。

歯周病に関して、膿が増えても出口がない場合は内圧が高まり、これが痛みになるという理屈です。慢性の状態で発見されればラッキーです。放っておいても決して良くなることはないので「このままではいずれ困ったことになりますよ」と治療を促します。

ところが「忙しい」とか「様子をみる」とか言い、治療を先延ばしにしようとする人がいます。もうお気付きでしょう、ここが運命の分かれ道です。

 

痛みが出ても抗生物質を飲めばとりあえず腫れは引き、一時はしのげます。ただしこれは急性が慢性に戻っただけで、原因はそのままです。

 

そのため「ちゃんと治療に来てくださいね」と言うのですが、痛みが引けば自己判断で勝手に治ったことにして、来なくなる患者さんも多いのです。

 

抗生物質ですが、実は血流があるところにしか効きません。だから血流があって腫れている歯肉には抗生物質が届き、腫れは一時的に収まりはします。

 

しかし原因(感染源)は歯に付着していて血流がありませんので、抗生物質は届きません。さらにそんなときにカゼなどのウィルスが入ってくると、全身に非常警報が鳴っているわけですから、免疫は歯の周りの細菌にかまってられなくなります。

 

すると歯の周りの細菌はここぞとばかりに増殖しだします。これが急性で、痛みや腫れが急激に出現する理由です。

 

以上のようなことがまとめて起きやすいのが、年末年始というわけなのです。

 

お金だけでなく、健康もまた重要な資産であるという根本的なことを認識し、健康にも積極的に投資していただきたいと思うのです。

 




しん研良院 奈良県香芝市のカイロプラクティック
原因のよくわからない痛みや不調に対処する施術院
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