膝の痛み
ひざ痛を取り去る施術ポイント
各種徒手的な検査
原因は多種多様なので、鑑別検査が必須で、これにより原因場所が特定されます。
足首や股関節
膝は足首や股関節の影響を大きく受けますので、全身の評価がとても重要となります。ひざだけを何とかしようとしても、あまり効果がありません。
腸
意外と思われるかもしれませんが、結腸と大腿の筋肉が関係しているため腹部の施術でひざの痛みが消失することがあります。
婦人科系(卵巣など)
これも意外かもしれませんが、骨盤内の体液の循環不良を改善することでひざの痛みが消えることがあります。高校生ぐらいから大人まで女性でなかなか良くならないひざ痛は下腹部の血液やリンパの循環をよくする施術で回復することがあります。
痛みの主な原因
- 関節の問題: 膝、股関節、足関節
- 筋肉の問題: 膝窩筋、大腿四頭筋、薄筋、縫工筋、腸脛靭帯など
- その他: 関節包、半月板、靭帯、伏在神経、
- 結腸や婦人科系の内臓の問題と筋肉との関係性
よく訴えのあるひざの痛み
オスグッド(膝の皿の下側の痛み)がずっと続いている
- 陸上、バスケット、野球、サッカーなどのスポーツをしている小・中学生によく発生する。
- 身長がよく伸びている時期(ひと月に1センチ前後)に発生しやすい。
変形性膝関節症
- 45歳ぐらいから変性が始まる。
- 注射で抜かなくても腫れをなくせます。
膝の後ろの痛み(膝窩筋炎)
膝の反りかえっている反張膝の人がなりやすい。
水泳選手に多い。

膝周りの関節や筋肉への適切な施療が必要です
膝の皿の中の痛みやひっかかり感・違和感(膝蓋骨軟化症)
- 多くは皿の外側に痛み。サイドステップの多いスポーツ、15~20歳女性アスリート。
- 内側広筋の弱化した中年以降の女性にもよくある。
膝の内側の痛み(鵞足炎:がそくえん)
骨盤のゆがみやⅩ脚の人がなりやすい
膝の皿のすぐ下の痛み(膝蓋腱炎、ジャンパー膝)
- ジャンプをよくする競技で多い~バスケット、バレーボール、陸上
- 高校生や大学生の時期にみられる
ひざ外側の痛み(腸脛靭帯炎、ランナー膝)
- 長距離選手、O脚の人に多い膝の外側の少し上に痛み。
- トラックを走る中距離選手では、右脚になりやすい。
ジャンパー膝
- 大腿四頭筋腱付着部炎や 膝蓋腱炎などのこと。
ランナー膝
- 腸脛靱帯炎(ちょうけいじんたいえん)のこと。
- 膝蓋軟骨軟化症(しつがいなんこつなんかしょう)や膝蓋腱炎(しつがいけんえん)、鵞足炎(がそくえん)等を含めて言う事もある。
施術例
改善された方のご厚意により、写真撮影などの許可をいただきました。
同じような症状でお困りの方にとって、ひとつの目安や判断材料になればと思います。

ヒザ痛や股関節の痛み
40代美容師(香芝市)
2019年大阪マラソンPB:4時間40分
- 施術していく中で、長年の頭痛も消失したとのことです
- 他の競技:テニス、スキー
- お勧めした栄養素:亜鉛、グルタミン

オスグッド
中学生、サッカー(三郷町)
2013年4月23日
- ダッシュしたり、膝を曲げたりすると右ひざの皿の下に痛み
- いろいろな所に通っているが、痛みが4か月続いている。
施術
- 大腿四頭筋や膝蓋骨、膝蓋靭帯、その他
- 自宅で行うエクササイズ指導
結果
1回目:痛みが8割減(10→2)
2回目:痛みが来院時10→7に戻っていましたが、施術後は7→3.5に半減。
3回目:左ひざにも同じ痛みが出てくる
4回目:「左は6、右は4の痛みです」施療後、痛みはかなり改善。
5回目:痛みゼロ。ダッシュしても大丈夫になっている。

半年前からの膝痛
12歳バスケット部(香芝市)
2013年3月19日
訴え
- オスグッドの痛みが、去年の8月ごろから続いている。
- 2軒目の病院で「タナ障害と膝蓋大腿関節不適合障害」の診断。
- 痛い場所は、左ひざ前側の全体。ひざ裏にも痛み。
- しゃがむととても痛い。膝の皿の上あたりで痛みが動く感じがする。
- オスグッドの痛みは左右にある。
考察
タナ障害や膝蓋骨に関する病院の診断の通り、プライカテストなどの整形学検査で陽性。
全身の検査では次のような部分に問題があった。
- 大腿部に拘縮
- 膝蓋骨の可動域異常: 内→外への動きがほとんどない
- 脛骨の問題: 外旋制限
3回の施術と結果
- 結腸へのマニピュレーション: しゃがんでみると、痛みが10→5に減少。
- 大腿四頭筋のトリガーポイントと膝蓋骨、脛骨に対する施療後: 痛み消失
ノートと考察
- このコーナーは、考察や各種情報をノートとして不定期に書き加えているものです。
- 私自身の記憶の整理用のノートですので、考えるヒント程度にお読みください。
- 「~だ」のような断定的な表現もありますが、あくまでもここに書いているのは考え方の一例に過ぎません。
- より良い情報が見つかるたびに、訂正や追加を加えます。
- 疑問点などのご指摘をくださる方があれば幸いです。
骨盤、股関節、足関節のアンバランスは、膝関節に障害をもたらす
⇒膝の検査も重要だが、股関節や足関節などの可動性を検査・施術することも重要
脛骨の回旋変位
⇒外顆と内踝の標準的な捻転は20~30度(外顆の方が少し後方に位置する)だが、内旋し過ぎ・外旋しすぎのことがある
関連する筋肉の検査と施術
~大腿四頭筋、大腿筋膜張筋、縫工筋、薄筋、ハムストリングス、腓腹筋、膝窩筋、足底筋など
~これらの筋肉と内臓との関連性について検査・施術
例)膝窩筋⇒胆のう、ハムストリングス⇒直腸、縫工筋・薄筋⇒副腎、大腿筋膜張筋⇒大腸、大腿四頭筋⇒小腸
膝関節における動的触診と施術
~可動性の制限を様々な方向から検査・・・縦軸、AーPやP-Aのすべり運動、内外旋、内方や外方の水平すべり・側屈
~半月板の検査
膝蓋骨の可動性減少について~膝蓋大腿関節のフィクセーションを施術
近位脛腓関節の可動性減少~AーPや下方ー上方のすべり運動の触診検査と制限に対する施術
解剖学
- 脛骨、大腿骨、膝蓋骨、腓骨~大腿脛骨関節、膝蓋大腿関節
- 内側側副靭帯、外側側副靭帯、前十字靭帯、後十字靭帯
- 内・外側半月板
- 大内転筋は内側膝蓋支帯と癒合
関節運動学
スクリューホームメカニズム
- 脛骨と大腿骨の間で回旋運動が生じる
- 脛骨の外旋・・・伸展の最後の30度で5~30度外旋
⇒Qアングルの大きい人は30度近くに
膝蓋骨の接地面積
- 膝蓋骨サブラクゼーション⇒面積が40~50パーセント減少
脛骨と大腿骨の回旋変位について
- 膝屈曲時に大腿骨に対し脛骨が内旋位: 膝関節は前十字靭帯と後十字靭帯がクロスし、大腿骨と脛骨を引き付けあい、膝を安定位におく。しかし、脛骨内旋位が強すぎると、膝関節への圧がかかりすぎるため動きに支障をきたす。
- 中間位: 大腿骨と脛骨のニュートラルアライメント~もっとも可動性がよい。骨性の支持が十分になされるため膝にもっとも負担ない位置。
- 大腿骨に対して脛骨が外旋位(ニーイントゥーアウト): 前十字靭帯と後十字靭帯の結合がほどける~大腿骨と脛骨は離解しやすい状態~膝が捻じれたまま大きな負荷~サッカーやバスケットなどでは特に膝を痛めやすくなる。日常生活でもこの状態が長く続くと膝痛の大きな原因となる
検査方法
痛みの位置、年齢、関節の変形、関節の可動域、外傷の有無を調べる。
整形学検査
- アプレーテスト
- バウンスホームテスト
- マクマレー・テスト
- スローカム・テスト
- ウイルソンサイン
- ストレステスト
- 引出テスト など
ランニングやジャンプを長時間繰り返しおこなうことによって膝に痛みが発生。
痛みの程度
軽 症: スポーツは可能だが、その後痛みが出る。
中等症: スポーツのプレーには支障がないが、練習中や練習後に痛み。
重 症: 常に痛みがあり、プレーに支障。
最重症: 腱や靱帯の断裂がおこる。
原因
オーバートレーニングにより生じるため、使い過ぎ症候群とも呼ばれる。
- 靭帯や腱の骨に停止する場所⇒筋肉によるストレスが集中しやすく、組織の小さな損傷が生じる。
- 靭帯が骨のすぐ上を通る場所⇒膝の曲げ伸ばしで、靭帯と骨の摩擦が生じて炎症がおこる。
よくある症状
- 大腿四頭筋炎(大腿四頭筋腱付着部炎)
- 膝蓋腱炎(しつがいけんえん)
- 鵞足炎(がそくえん)
- 腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)
対策
- 筋力不足、筋力のアンバランスの解消骨の成長と筋の伸びとのアンバランス、
- からだの柔軟性不足、アライメント不良などの解消
- オーバートレーニング、体力や技術に合わない練習、不適切な靴、硬すぎたり軟らかすぎる練習場などの見直し
10歳~14歳に多発するこどものスポーツ障害
成長期におけるスポーツ活動が盛んになるにつれオスグッドの発症頻度が高くなっている。
⇒子どものスポーツ活動に大きな影響を与え、競技変更を余儀なくされることもあるので、早期発見・治療が必要
⇒無理に運動を続けて、遊離骨片が出来てしまうと、骨片の癒合した完全治癒にならない~その場合、痛みは軽減しても、スポーツ時の違和感や痛みが残りやすい
⇒定期的な圧痛チェックが必要・・・病院を受診すると、X線(初期ではMRI)で診断される
発育期の解剖学的特徴に運動ストレスが加わったことが直接的な発症原因。
・いったん発症すると治癒まで長期間を要することがあり、その間スポーツ活動に支障をきたす。
・剥離部がossicle(骨片)として残存すると、成人になってからでも疼痛が残り手術の必要となることがある。
・発育期の運動ストレスが脛骨粗面に集中し、脛骨結節の骨化核や硝子軟骨が部分的に剥離骨折を起こす。
・発症には脛骨粗面の発育過程が大きく関与
⇒(脛骨粗面の骨化過程)脛骨近位骨端部が前方へ発達~脛骨粗面部の二次性骨化核が出現~脛骨近位の骨端核と癒合して舌状突起を形成~両骨端核が癒合して骨化が完成
脛骨粗面部の発育過程の分類
- 骨化核の出現前(10才以前)
- 舌状部に骨化核が出現する時期(10~11才頃)
- 脛骨結節の骨化が脛骨骨端に癒合しているが脛骨結節の表層は軟骨で覆われる(13~15才頃)
- 骨端線閉鎖(18才頃)
- 脛骨粗面部が軟骨や骨化核で形成されている時期は、膝蓋腱と繊維軟骨で結合しており力学的に脆弱な部位になっている。
- ランニングやジャンプなどを繰り返すことで、膝蓋腱の牽引力が脛骨粗面に加わり、剥離をおこす。
- 発症誘因・・・発育急進期の膝まわりの骨の長軸成長と筋、腱の伸張のバランスのくずれ
⇒大腿骨と脛骨の長軸方向の成長の約70%は、膝関節部で起こる~大腿四頭筋の緊張・柔軟性低下で脛骨粗面へのストレスが増大
⇒発育急進期に多く発症・・・男子13才、女子11才前後
⇒予防には、身長の定期的な測定で身長成長速度曲線のどこに該当しているかを把握しておく
症状
- 痛みの程度: 歩行や階段昇降が困難~ランニングが困難
- 脛骨粗面に膨隆、圧痛、熱感がある。
- 大腿四頭筋やハムストリングスの硬さ
- 鑑別検査: 大腿直筋の検査・・・尻上がり現象 ※骨盤前傾位では、代償作用が働く→後傾させる肢位で
- X線: 1初期(限局性透亮像)、2進行期(分離、分節像)、3終末期(遊離体像)
病院での治療
炎症症状が強いとき: 非ステロイド消炎剤含有の湿布や軟膏
外科的治療: 骨端線癒合後に骨片が残存し、痛みのためスポーツ活動が思うようにできない時に選択される
⇒痛みの原因が膝蓋靭帯炎であることもあるので注意が必要
改善方法
- 大腿四頭筋やハムストリングスに対するアプローチ
- 股関節の可動域や周辺の筋緊張に対して
- 下肢筋群と体幹筋群に対して
- 骨格の調整
- MCR
- 自宅でのエクササイズ指導
- オスグッドバンドの装着: G2(脛骨粗面の膨れなし)なら、バンド着用で
- 3~5割で練習
コメント
予防のためのストレッチは重要ですが、痛みが出てしまったらストレッチが出来なくなります。
放置しておけば、痛みの取れるまで長期間要することも多くなります。
適切な施術を加えることで、その期間をかなり短縮することが可能です。
参考
膝蓋靭帯全体に痛みを感じる場合は、膝蓋靭帯炎と呼ばれる。
膝蓋靭帯の上端部に炎症が現れる場合は、シンディング・ラーセン・ヨハンセン病と呼ばれる。
スポーツ選手に多い膝内側の痛み。
- 膝の内側の鵞足と言われる場所で、半腱様筋・薄筋・縫工筋が脛骨上部につくところに痛み。
- これらの筋肉のバランスが崩れたり、骨盤のゆがみが大きかったりするのが原因。
- Ⅹ脚の人が、なりやすい症状。
- 膝伸展で、鵞足部が緊張し、痛みを生じる
半腱様筋: 坐骨結節に付着
薄筋: 恥骨に付着
縫工筋: ASISに付着
⇒骨盤のゆがみは、これらの筋肉のバランスに悪影響を及ぼす。
⇒鑑別テスト:薄筋~股関節伸展、外転で膝伸展・・・原因になりやすい筋肉
アプローチ方法
筋肉への施療: 薄筋、縫工筋、半腱様筋
骨格の調整: 股関節や脛骨、骨盤
MCR(微弱電流): 組織の回復が早まる
ニー・インする原因に対して: 内側広筋の弱化、足部の問題
鑑別
脛骨近位の疲労骨折→MRI検査
内側側副靭帯炎: 水泳選手に多い。外反ストレス検査で鑑別。
脛骨の骨軟骨腫: 骨性の隆起がある。
ジャンパーズニー
- 膝蓋骨の下方に痛み。
- 原因: 大腿四頭筋の使い過ぎ
- オスグッドとの併発もある: オスグッドを優先して治す
対処方法
- 大腿四頭筋などの調整
- MCR(微弱電流)
- 腹部の施療…大腿四頭筋の筋緊張に対して
- 股関節の柔軟性を付ける…股関節の可動域不足は膝に影響
- バンド着用、運動量を減らす
- アイシング
- 踏切動作の矯正…スクワット動作時における不良パターンを直す
- 内側のすり減った靴を使用しない
しん研良院
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